死ぬ死ぬ詐欺とポリティカル・コレクトネス

いわゆる「死ぬ死ぬ詐欺」と呼ばれている件についてはあまりよく知らないのだが、いわゆる「サニーサイドアップ・メソッド」の文脈で理解していた。

PR会社サニーサイドアップは、ポリティカル・コレクトネスな立場を上手く作り上げ、非難を浴びない格好いいイメージを生み出し、それで利益を上げるのがとても上手い。これをスマートというかあざといというかは、僕はその人の立場によると思う。

ポリティカル・コレクトネス(以下PC)な立場による事業は非難を浴びにくい。「死ぬ死ぬ詐欺」と称される件についても同様で、そもそもは「命はなによりも大事」という意見は非難を浴びない、というPC的前提がある。PC的に正しいのだからこれによって募金をつのり病気の少女を助けることには何の問題もないし、結果として必要額以上の募金を集め「利益」を得ても、PC的には何の問題もない。PC的には。

あと『死ぬ死ぬ詐欺』って本当に死ぬんだよ、お金が集まらなかったら。

この一文は正直言ってびっくりしたが、PC的には正しい。生命は金額に変えられない価値があるのだから、お金を集めることを阻害しようとする勢力はPC的に見れば間違っている。PC的には。

「PCの行き過ぎ」はしばしば問題になる。今回の件もそういう反PC文脈でとらえている。どこまでがよくてどこからが「行き過ぎ」なのかは、よくわからない。

ところで、ややこしい話だが、「生命をもとにお金もうけをしてはいけない」という意見もPCの文脈上にあるのではないかと思っている。生命は金額に変えられない価値があるのだからその生命を使って金銭的な対価を得てはいけないのである。PC的には。